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メディカルダイエットにおける運動療法の新常識―痩せるためではなく身体を守る戦略

最終更新日 2025-12-24

この記事のポイント

  • メディカルダイエットでは薬が「脂肪を減らす」役割を担い、運動は「身体を作る・守る」役割を担います
  • 運動療法は体重を減らすためではなく、筋肉量を維持しリバウンドを防ぐ「守備的」な役割が重要です
  • 減量時に運動を怠ると「サルコペニア肥満」(見た目は細いが筋肉不足で脂肪過多)のリスクが高まります
  • NEAT(非運動性熱産生)は1日の消費エネルギーの約15〜30%を占め、ジムより日常動作の積み重ねが効果的です
  • GLP-1製剤使用中は低血糖リスクがあり、激しい運動より「少量・継続」の運動が推奨されます

はじめに|メディカルダイエット=薬だけ、という誤解

「GLP-1ダイエットで痩せるなら、運動はしなくていいのでは?」 このような疑問をお持ちの方は少なくありません。確かに、リベルサスやマンジャロなどのGLP-1受容体作動薬は強力な食欲抑制効果を持ち、食事量の自然な減少によって体重が減っていきます。臨床試験では、チルゼパチド(マンジャロ・ゼップバウンドの有効成分)の最大用量で約20%もの体重減少が報告されています[1]。 しかし、ここで重要な事実があります。薬は「脂肪を減らす」ことはできますが、「身体を作る」ことはできません。 急激な体重減少の過程では、脂肪だけでなく筋肉も失われます。運動療法を併用しない場合、減量後に「見た目は細くなったのに、疲れやすい」「体重は減ったのに、たるんで老けて見える」という状態に陥るリスクがあるのです。 本記事では、メディカルダイエットにおける運動療法の本当の役割と、忙しい方でも実践できる効果的な運動戦略について、最新のエビデンスをもとに解説します。

メディカルダイエットにおける運動の位置づけ

体重減少の主因は食事・薬物療法

まず明確にしておきたいのは、体重を減らすこと自体は、運動の主な役割ではないということです。 1時間のジョギングで消費できるカロリーは約400〜500kcal程度です。一方、GLP-1製剤による食欲抑制で、1日の摂取カロリーが500〜1,000kcal減少することは珍しくありません。純粋なカロリー収支で考えれば、薬物療法と食事管理の効果は圧倒的です。 「運動だけで痩せよう」というアプローチは、多くの方にとって大きなストレスとなり、継続が困難です。メディカルダイエットでは、体重減少は薬と食事に任せ、運動は別の目的のために行うという発想の転換が重要です。

運動が必要な「守備的」理由

では、運動は何のために行うのでしょうか。メディカルダイエットにおける運動の本質的な役割は、以下の4つです。

1. 筋肉量の維持

減量期には、脂肪だけでなく筋肉も減少します。GLP-1製剤を使用した減量において、筋肉量の減少を抑えるためには抵抗運動(筋力トレーニング)の併用が不可欠であることが研究で示されています[2]

2. 代謝低下の防止

筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、同じ食事量でも太りやすい身体になります。これが、ダイエット後に「前より少なく食べているのに太る」という現象の原因です。

3. リバウンド予防

薬物療法を終了した後、食欲抑制効果がなくなれば体重増加のリスクがあります。筋肉量を維持できていれば、代謝が保たれ、リバウンドしにくい身体を作ることができます。

4. QOL(生活の質)の維持

体重が減っても、階段で息切れしたり、疲れやすくなったりしては意味がありません。適度な運動は、心肺機能や日常生活動作(ADL)を維持し、生活の質を保ちます。

運動療法が身体と脳に与える影響

筋肉量と代謝への影響【サルコペニア肥満の防止】

サルコペニア肥満」という言葉をご存知でしょうか。これは、筋肉量が低下した状態(サルコペニア)と肥満が合併した状態を指します[3]。 急激な減量時に運動を併用しないと、体重は減っても筋肉量が大幅に低下し、体脂肪率は高いままという状態になりやすいのです。見た目は細くなっても、実際には「脂肪過多・筋肉不足」という不健康な身体組成になってしまいます。 サルコペニア肥満の問題点は多岐にわたります。

  • 疲れやすさの増加:筋肉が減ると、日常動作でも疲労を感じやすくなる
  • 外見の老化:筋肉のハリがなくなり、皮膚がたるんで見える
  • 代謝の低下:基礎代謝が下がり、リバウンドしやすくなる
  • 転倒リスクの増加:下肢の筋力低下により、バランス能力が低下する
  • インスリン抵抗性の悪化:筋肉は血糖を取り込む重要な臓器であり、筋肉量低下は血糖コントロールを悪化させる

これを防ぐためには、減量期間中も週2〜3回の筋力トレーニングを継続することが推奨されます。

インスリン感受性の改善

運動は、筋肉細胞におけるインスリン感受性を向上させます。これは、GLP-1製剤による血糖コントロール効果と相乗的に作用し、より良い代謝状態を実現します。 具体的には、運動により筋肉内のGLUT4(グルコーストランスポーター4)という糖の取り込み口が細胞表面に移動し、インスリンに頼らずとも血糖を筋肉に取り込めるようになります。これにより、食後の血糖上昇が抑えられ、インスリン分泌への負担も軽減されます。

脳・神経系への効果

運動は脳にも良い影響を与えます。適度な運動は、以下のメカニズムで食欲コントロールを助けます。

  • セロトニンの分泌促進:精神的な安定をもたらし、ストレス性の過食を防ぐ
  • BDNF(脳由来神経栄養因子)の増加:脳の健康を保ち、衝動的な食行動を抑制する
  • 報酬系の正常化:運動による達成感が、食べ物に頼らない満足感を提供する

これらの効果により、GLP-1製剤による食欲抑制効果を補完し、より健全な食行動を維持しやすくなります。

推奨される運動内容(量より質と継続)

筋力トレーニング(最重要)

メディカルダイエットにおいて最も重要な運動は筋力トレーニングです。有酸素運動よりも優先度が高いと言っても過言ではありません。 特に重要なのは、下半身と体幹の大きな筋肉群です。

  • スクワット:太もも前面(大腿四頭筋)、お尻(大殿筋)を鍛える
  • ランジ:片足ずつ負荷をかけ、バランス能力も向上
  • プランク:体幹(腹筋群、背筋群)を安定させる
  • ヒップリフト:お尻と太もも裏(ハムストリングス)を強化

週2〜3回、各種目10〜15回を2〜3セット行うことで、筋肉量の維持に効果があります。ジムに通う必要はなく、自重トレーニングで十分です。 重要なのは「追い込む」ことではなく「継続する」こと。無理のない強度で、習慣として定着させることを優先しましょう。

有酸素運動(最低限)

有酸素運動は、心肺機能の維持と血流改善のために行います。ただし、体重減少を目的とした長時間の有酸素運動は必要ありません。 推奨される有酸素運動。

  • ウォーキング:20〜30分/回、週3〜5回
  • 軽いジョギング:15〜20分/回(無理のない範囲で)
  • 水中ウォーキング:関節への負担が少なく、肥満の方に適している

会話ができる程度の強度(「ややきつい」と感じる程度)で十分です。息が切れるほどの激しい運動は、むしろストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を促し、逆効果になることがあります。

ストレッチ・可動域ケア

ストレッチは軽視されがちですが、自律神経の調整や食欲コントロールに寄与する重要な要素です。

  • ストレッチ副交感神経を優位にし、リラックス効果をもたらす
  • 深呼吸を伴うストレッチストレス軽減、過食衝動の抑制に効果的
  • 朝・晩のルーティン化5〜10分のストレッチを習慣にする

特に、食欲が増すタイミング(夜間、ストレスを感じた時など)に深呼吸を伴うストレッチを行うと、衝動的な間食を防ぐ効果が期待できます。

忙しい人のための「日常生活に組み込む運動療法」

NEAT(非運動性熱産生)という考え方

「仕事が忙しくて運動の時間がとれない」という方に朗報があります。実は、1日の消費エネルギーの約15〜30%は、ジムでの運動ではなく日常の動作によるものなのです[4]。 この日常動作によるエネルギー消費を「NEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis:非運動性熱産生)」と呼びます。NEATには、通勤での歩行、階段の昇り降り、家事、貧乏ゆすり、立っている時間なども含まれます。 驚くべきことに、研究によると週1回のジム1時間よりも、毎日のこまめな移動や立ち動作の方が、総消費エネルギーで勝るケースが多いことが示されています。 つまり、忙しい人こそ、「まとまった運動時間を確保する」という発想から、「日常の動作を運動に変える」という発想に切り替えることが有効なのです。

移動を運動に変える工夫

日常の移動をNEATに変える具体的な方法です。

  • 階段利用エレベーター・エスカレーターを避け、階段を使う
  • 一駅歩く最寄り駅の一つ手前で降りて歩く(片道10〜15分のウォーキングになる)
  • 駐車位置を遠くする建物から離れた場所に駐車し、歩く距離を増やす
  • 自転車通勤可能であれば、自転車での通勤を検討する

これらは「運動の時間」を別途確保する必要がなく、生活の中に自然に組み込める点がメリットです。

デスクワーク中のミニ運動

長時間の座位は、それ自体が健康リスクとなります(セデンタリー・ライフスタイル)。デスクワーク中でも実践できる対策です。

  • 30分に1回の立ち上がりタイマーを設定し、30分ごとに立ち上がって数歩歩く
  • 座りながらのかかと上げ座った状態でかかとを上げ下げし、ふくらはぎを動かす
  • 座位での腹筋意識背もたれに寄りかからず、腹筋を意識して座る
  • ステッパーやバランスボールの活用デスク下にステッパーを置いたり、椅子をバランスボールに変えたりする

研究では、座位時間を1時間減らすだけで、代謝マーカーが改善することが示されています。

家事・日常作業の活用

家事も立派な運動です。意識を変えるだけで、消費カロリーを増やせます。

  • 掃除機がけ大きく動きながら、全身を使って行う
  • 床拭き腕と体幹を使った良いトレーニングになる
  • 洗濯物干しスクワットを取り入れながら行う
  • 買い物重い荷物を持って歩くことで、筋力トレーニング効果も

家事を「面倒な作業」ではなく「身体を動かす機会」として再定義することで、日常のNEATを大幅に増やすことができます。

避けるべき運動習慣

メディカルダイエット中には、避けるべき運動パターンもあります。

空腹時の高強度運動

GLP-1製剤を使用中は、食欲が抑制され、摂取カロリーが減少しています。この状態で空腹時に激しい運動を行うと、低血糖のリスクが高まります[5]。 症状としては、冷や汗、手の震え、動悸、めまい、集中力の低下などが現れます。運動は必ず軽い食事の後に行い、運動中に異変を感じたらすぐに中止しましょう。

毎日の激しすぎるトレーニング

「早く結果を出したい」という焦りから、毎日ハードなトレーニングを行う方がいますが、これは逆効果です。

  • 筋肉の回復時間が不足:筋肉は「壊して、修復する」ことで成長する。休息なしでは修復が追いつかない
  • ストレスホルモンの増大:過度な運動はコルチゾールを増加させ、筋肉分解を促進する
  • 免疫機能の低下:オーバートレーニングは免疫力を下げ、体調を崩しやすくなる
  • 継続のモチベーション低下:疲労が蓄積し、運動自体が苦痛になる

筋力トレーニングは週2〜3回、有酸素運動も「毎日絶対」ではなく「できる日に」という程度で十分です。

食事の「罰」としての運動

「食べ過ぎたから運動で取り返す」「運動しないと食べてはいけない」という考え方は、精神衛生上非常に有害です。 この思考パターンは以下の通りです。

  • 摂食障害のリスクを高める
  • 運動に対するネガティブな感情を生む
  • 罪悪感のサイクルに陥りやすい
  • 長期的な継続を妨げる

運動は「身体を健康に保つための習慣」であり、食べ過ぎの「罰」ではありません。食事と運動は別々に考え、どちらも楽しみながら行うことが、長期的な成功の鍵です。

薬物療法(GLP-1等)と運動の関係

低血糖・ふらつきへの注意喚起

GLP-1製剤は、インスリン分泌を促進する作用があります。食事量が減少している状態で激しい運動を行うと、血糖値が急激に低下する可能性があります[5]。 低血糖の自覚症状です。

  • 冷や汗
  • 手の震え
  • 動悸
  • 強い空腹感
  • 頭がぼーっとする
  • ふらつき・めまい

これらの症状を感じたら、すぐに運動を中止し、ブドウ糖や糖分を含む飲料を摂取してください。 特に、SU薬(スルホニル尿素薬)やインスリンとGLP-1製剤を併用している糖尿病患者さんは、低血糖リスクがより高くなるため、主治医と相談の上で運動計画を立てることが重要です。

運動量は「少量・継続」が最適

GLP-1製剤を使用したダイエットにおいて、運動の最適なアプローチは「頑張りすぎない」ことです。 激しすぎる運動は以下の通りです。

  • ストレスホルモン(コルチゾール)を増大させる
  • 食欲を逆に増加させる可能性がある
  • 低血糖リスクを高める
  • 継続が困難になる

研究では、中強度の運動を週150分程度(1日約20〜30分)行うことが、健康効果と継続性のバランスにおいて最適とされています[5]。 「物足りない」と感じる程度でちょうど良いのです。大切なのは、1回の運動で追い込むことではなく、習慣として長く続けることです。

よくある質問(FAQ)

Q: GLP-1ダイエット中は運動しなくても痩せますか?

A: はい、GLP-1製剤の食欲抑制効果により、運動なしでも体重は減少します。しかし、運動を併用しないと筋肉量も同時に減少し、「サルコペニア肥満」のリスクが高まります。リバウンド予防や健康的な体組成の維持のためには、週2〜3回の筋力トレーニングを併用することを強くお勧めします。

Q: どんな運動が最も効果的ですか?

A: メディカルダイエットにおいては、筋力トレーニングが最も重要です。特に下半身と体幹の大きな筋肉を鍛えるスクワットやプランクがお勧めです。有酸素運動は20〜30分のウォーキング程度で十分であり、激しいランニングやHIITは必須ではありません。何より大切なのは継続できる運動を選ぶことです。

Q: 運動するとお腹が空いて逆に食べてしまいませんか?

A: 適度な運動はむしろ食欲を安定させる効果があります。激しすぎる運動は食欲を増進させる可能性がありますが、会話ができる程度の中強度運動であれば問題ありません。GLP-1製剤による食欲抑制効果と相まって、過食につながることは稀です。運動後に空腹を感じた場合は、タンパク質を中心とした軽い食事を摂りましょう。

Q: 忙しくて運動する時間がありません。どうすればいいですか?

A: NEAT(非運動性熱産生)を意識した生活改善がお勧めです。階段を使う、一駅歩く、座っている時間を減らすなど、日常動作を運動に変える工夫をしましょう。これらは1日の消費エネルギーの15〜30%を占め、週1回のジム通いより効果的な場合もあります。また、5分のストレッチや10回のスクワットなど、隙間時間でできる運動を習慣化することも有効です。

Q: 運動中にふらつきを感じました。どうすべきですか?

A: 直ちに運動を中止し、座って休んでください。低血糖の可能性があるため、ブドウ糖タブレットや糖分を含む飲料(ジュースなど)を摂取してください。15分程度で改善しない場合や、症状が重い場合は医療機関を受診してください。今後は運動前に軽食を摂る、運動強度を下げるなどの対策を講じ、主治医にも相談しましょう。

まとめ

メディカルダイエットにおける運動は、「痩せるため」ではなく「痩せた身体を健康に維持するため」に行うものです。 GLP-1製剤などの薬物療法は強力な体重減少効果をもたらしますが、運動を併用しなければ筋肉量も失われ、サルコペニア肥満やリバウンドのリスクが高まります。週2〜3回の筋力トレーニングと、20〜30分程度の有酸素運動を組み合わせることで、健康的な体組成を維持しながらダイエットを成功させることができます。 忙しい方は、NEATを意識した生活改善から始めましょう。階段を使う、こまめに立ち上がる、家事を運動として捉えるなど、日常動作の質を高めることが最も実践的で効果的なアプローチです。 そして何より大切なのは、「頑張りすぎない」こと。運動は罰ではなく、身体を守るための習慣です。無理なく続けられる範囲で、長く継続することを目指しましょう。

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免責事項 本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療の代替となるものではありません。症状や健康上の懸念がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。運動療法の開始前には、主治医にご相談ください。

参考文献

  1. Jastreboff, A. M., et al. (2022). Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity. New England Journal of Medicine, 387(3), 205-216. SURMOUNT-1試験において、チルゼパチド15mg投与群で72週間後に平均20.9%の体重減少を報告。
  2. Sargeant, J. A., et al. (2019). Review of the effects of GLP-1 receptor agonists on body composition and physical function. Diabetes, Obesity and Metabolism, 21(10), 2105-2116. GLP-1製剤による減量において、筋肉量の減少を抑えるためには抵抗運動(筋トレ)の併用が不可欠であることを示唆。
  3. Batsis, J. A., & Villareal, D. T. (2018). Sarcopenic obesity in older adults: aetiology, epidemiology and treatment strategies. Nature Reviews Endocrinology, 14(9), 513-537. 急激な減量時に筋肉が減少することで、体脂肪率が高いまま筋肉量だけが落ちる「サルコペニア肥満」のリスクを指摘。
  4. Levine, J. A. (2004). Non-exercise activity thermogenesis (NEAT). American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism, 286(5), E675-E685. 日常の活動が全消費エネルギーの約15〜30%を占めることを示し、肥満予防におけるNEATの有効性を提唱。
  5. Colberg, S. R., et al. (2016). Physical Activity/Exercise and Diabetes: A Position Statement of the American Diabetes Association. Diabetes Care, 39(11), 2065-2079. 薬物療法中の患者が運動を行う際の安全ガイドライン。低血糖リスクや、その際の自覚症状(ふらつき等)への注意を促している。
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